それからは、度々、訪ねてきてくれた沙耶さんのお陰で、私はまた、ペンを手に取れるようになったのだ。
彼女には、感謝してもしきれない。
彼女の娘である、
「これも、面白いよ!」
美耶にも。
「こんなに借りて……良いの?」
「だから、良いってば。家の本棚、充実してるから……読むの、飽きないんだよ!今度、伊織も一緒に行こうね」
あの時、同じ空間の中にいた、私からすれば、高嶺の花だった美耶。
とても親しみやすく、本当に美少女で、趣味も合う良い友達として、私と接してくれて。
『高嶺の花!?私の評価、それ!?』
学校での美耶の噂を話すと、美耶自身は驚いたように否定し、横で母親の沙耶さんは大笑い。
『た、高嶺の花……フフフッ、相馬の、王子様みたい……』
どうやら、相馬さんが学生時代の頃は、裏で“王子様”と呼ばれていたらしく……
『今でも思うけど、あいつの仮面、丈夫よね』
沙耶さんは、感心していた。
世界が違うと、恐れ戦いていた人達は、とても気さくで、優しくて。
人の上にたつ人間として生まれた分、背負うものは大きいはずなのに……小さいものすらも見逃さず、手を差し伸べるその強さ。
私の憧れ、そのもので。
沙耶さんを通じて、広がる世界。


