「伊織!一日早いけど、お誕生日おめでとう!」
私の通っていた学校は女子高で、それなりに家が裕福だった私は、勉学に励みながら、創作を続ける普通の女子高生だった。
「ありがとう!」
友達にも恵まれ、毎日、笑ってたんだ。
あの頃の、私は。
「そうだ!これ、噂なんだけどさ……」
私が住んでいるところで有名だったのは、勿論、世界をも牛耳る、有名な家だった。
焔棠は極道として、名を馳せていたし……御園と姫宮の本家があることも、ここに住む人間に意識させる要因になっていたんだろう。
おまけに、私の通っていた女子高には、その有名な御園家の次女である、御園美耶さんがいた。
お人形のように可愛い彼女は、人気だったが……勿論、虐めの対象にもなって。
その護衛さんがまた、すごかった。
そんな有名な子と関わることなんてないと思っていた私はこの日、当たり前のように家に帰り、家族に迎えられて。


