「だから、ほら。おいで」
右腕を伸ばし、彼の背中に回す。
私よりも、頭二つ分くらい高いこいつは、私を包み込むように抱き締める。
優しい、優しい抱擁。
「大丈夫だから、ね?」
説教と言ってたけど、どうやら、本気で心配していたらしく。
怒る気力もなくなって、私は彼にすり寄った。
すると、強くなる抱擁。
「逢いたかった……」
漏れ聞こえるような、その声に。
「私も。お帰りなさい、相馬」
私の口許は笑みを刻み、私の心を舞い上がらせる。
ほんの、数ヵ月の話なのに。
相馬の胸に頬を寄せていると、誘うように、頬に手が滑った。
看護師さんは空気を読んでくれたのか、いつの間にか居なくなっていて。
拒否する理由もないので、身を委ねる。
すると、視界が甘く、翳った。


