「…………あんたに言った私がバカだったわ。お帰り」
「おう、ただいま」
不敵に笑うこの人の愛に侵された私は、多分、この先一生、この人には勝てない。
そして、私は、恒例通り、身を差し出す。
すると、腕を気にしているのか、彼は私を抱き締めようとはせず。
「……平気よ?」
「悪化したら、どうする」
「全身骨折しても、私を抱き締めたあんたに言われたくないわ」
「……」
長い、年月。
ずっと、一緒にいた。
色々なことがあって、お互いに命がなくなりかけたり、ICUに入れられたり、峠と言われたり、まぁ、色々とあったけれど……私達は、今も生きている。


