「伊織~!」
病室のドアが開き、大袋を持った私の次女……美耶が元気よく、入ってきた。
「調子はどう?新しい本、持ってきたよ!」
私と相馬の子供のはずなのに、背丈の低い我が娘は、
「お母さん、お父さんが帰ってきたよ」
と、言う。
「相馬が?なんで」
「そりゃ、お母さんのことが心配だからじゃないの?」
意味がわからない。
「あいつ、散々、人を説教したくせに……そういや、悠哉が迷惑しているって言ってたな……説教でもすっか」
仕事に影響を出すなんて、大人として間違ってる。
「いや……庇って貰った私が言う台詞じゃないけど……説教は出来なくない?ってか、私、本当に道場に行こうかな……」
散々、相馬が怒ったのと同様、散々、泣いて謝り倒してきた美耶は、そう呟く。


