☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「沙耶さんっ!」


明るく笑って、元気を装うこの子に、できることは何?


何度問いても、答えはでなくて。


「元気そうだね、伊織」


「はい!今日、とっても良いことがあって!」


芹川伊織(せりがわ いおり)は、爛々と目を輝かせながら、原稿用紙に何かを書き綴る。


「どんな、良いこと?」


頭を下げて、出ていく看護師さんにお礼を言い、私は伊織の傍の椅子に腰を下ろした。


「すっごい、イケメンを見たんです」


「イケメン?」


「はい!めちゃくちゃ、小説の案が思い上がって……今、書き綴ってます!」


今日は、心から楽しいらしい。


目に、光が宿ってる。


「じゃあ、書きなさいな。傍で見てるから」


「良いんですか?」


「一区切りついたら、時間をちょうだい」


「ありがとうございます!」


伊織は嬉しそうに、ペンを進める。


出逢った頃よりも、明るさを取り戻した顔。


今だ、食事は進んで食べれないみたいだけど、最初の頃よりも量は増えた。


それだけでも、大きな進歩だ。


今年で、17歳の伊織。


私の次女である、美耶と同い年で……良い友達。