☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3

□沙耶side■



悠哉を見送った後、私はナースコールを押して。


「はい?どうしました?」


ナースコールからではなく、直接、部屋を訪ねてくれる看護師さんに微笑んだ。


「伊織ちゃんの所に行きたいの。連れてって、貰える?」


「分かりました。……これ、息子さんの作品ですか?凄いですね」


「でしょ?刺繍とか、飾り切りとか、よもや、プロだよ」


「悠哉くん、でしたっけ?」


「うん。双子のお兄ちゃんなんだけど。双子の妹の茅耶は超絶不器用なんだけどなー」


運んでいた箱にすらも簡単に穴を開ける茅耶は、ある意味、天才の域だろう。


でも、兄の悠哉は、また、別の意味での天才だ。


「旦那様はどうなのですか?」


「相馬?あいつ、何でもできるから。わかんない」


出来ないことがないのか、相馬が困っているところは結婚してこの方、見たことがない。