「フフっ、よく、見てるわね?弟たちのこと」
「ちゃんと、妹のことも見てますよ。例えば、冬哉は別の事業をどんな風に始めてみたいと思ってるのかとか、真耶は冬哉と何を企んでるのかとか」
「冬哉はともかく、真耶は中一に見えないわね」
「一応、13歳なんだけどね」
11歳も下の妹。
僕たち兄弟の末っ子に当たるはずなのに、しっかり者で。
「まぁ、好きにやらせていたら良いわ。問題は……」
「千鶴?千鶴は心配ないよ」
「ええ?でも、あの子、やりたいこととかないって、言ってて……まだ、中三だから良いんだけどさ。高校は蒼繚華だし」
蒼繚華学園。
それは、僕の母校。
「高校から、そこに入れなんて……なんで?中学からじゃダメなわけ?」
「世間で生きていく方法も必要でしょう?名家に生まれたからって、甘やかすつもりはないわ。自分で、自分の後始末はしてもらわないと」
そんな感じで、母さんとある程度会話をすると、僕は母さんに暇乞いした。
「もしかして、眠くなった?仕方ないわねぇ」
何に対しても、寛容な母さん。
クスクス笑って、僕に手を振ってくれた。


