☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「……それで、すむ?」


「どーだろ。多分?」


「多分じゃ、意味ないよ。…………でも、もう、なに言っても無駄か。なら、どーでも良いや、面倒くさいし」


用意された椅子に腰を下ろし、紙袋を渡す。


「おぉ!頼んだやつ?早いね!」


「朝から、緊急!って、題でメールが来るから、何かと思えば……」


紙袋から取り出されるのは、タッパ。


中に入っているのは、


「んー、美味しそう!」


勿論、料理だ。


「母さんの好物を適当に作ってきたけど……これで良いの?」


「全然良い!ありがとう!」


「……飾り切りした果物も入ってるから」


「ゆーや、最高!」


ヤバイ、母親に見えなくなってきた。


「…………母さんが直せないっているから、破れてた服も縫ってきたよ。でもさ、よくよく考えたら、買い直せばよくない?」


別の袋から、数枚の服を取りだす。


「買い直すなんて。勿体無いじゃない?」


ニコニコと料理を眺めながら、笑う母さんはそう言って。


「無駄な資源は出さない主義なの。だから、捨てないし、買い直さない。いくら、金があっても、話は違うしね」


「『金持っている人間が金を使わないと、経済は回らない』……そう言ってたの、誰だっけ?」


「使えるところでは、使ってるわよ。御園の金も、黒橋の金も」


決して、お金に固執しない母さんは、服にも、化粧品にも、身の回りのものにも、固執しないタイプだ。


欲しい本があったら、古本屋行く元お嬢様である。