「どーにでもなるけどさ、気を付けよ?」
「そりゃ、美耶がいなかったら、相手はボコボコだったけど……どっちにしろ、相馬に消されるし?いっかなーって」
良くないだろう。
何が、良いのだろうか。
「いや、面倒になってさ。一応、左腕を使ったんだから、許してよ」
俺らを双子を生むときに、仮死状態になったらしい母さんは、左半身が鈍っている。
お陰さまで、咄嗟に手を上げることはできず。
でも、右手があるのだから、困らないというこの母親は、本当に変わり者だ。
「……でも、父さんは怒ったんでしょ?」
「ええ。ブツぐらい、潰しとけって」
……それも、どうなのか。
「潰す余裕なんてなかったっての。ま、今回は『許してあげて?』なんて、言うつもりないけどねー。言ったら、みんなに怒られるし」
基本的に自分を害した人間に温情をかける母さんは、子供が狙われたら、遠慮がなく。
徹底的に、叩き潰させる癖がある。
御園の裏は過酷で、暗殺集団までもが存在するほどだ。
御園の歴史は、闇は深く、重い。


