時は巡り、和子の息子は闇に呑まれかけた。
でも、和子と決定的に違ったのは、その闇を蹂躙し、支配しようとしたところだ。
ただ、呑み込まれるのではなく、嫌った上で呑み込まれるから、己を失うこともない。
おまけに愛する人が彼にはいたから……死ぬ理由もなかった。
ただ、慢性的な問題は……
「さて……大きな問題は、相馬さまの女心の理解のなさと重鎮ですわね」
重鎮は、昔からの面倒事で、何とかしようと思えばできると思う。
だが、相馬さまの女心の理解のなさはどうしようもない。
「はあ……」
目の前で、目をパチクリとする柚香さまは、相馬さまの最愛の妻である、沙耶さまの幼馴染で親友。
かつての私と和子みたいだが、ただ、一つ、徹底的に違うところがあって。
「相馬に女心を判れというのは、無理でしょう」
それは、その幼馴染の為に動くところだ。
私には、それができなかった。
だからこそ、柚香さまに力を貸したいと思ったわけだが……。


