『……馬鹿じゃないの?』


『いや、カミソリの刃を握りしめた、お前に言われたくないよ』


三日目の夜。


私の両手の包帯は、すっかり外れていて。


それはもう、丁寧に、丁寧に、相馬くんが治してくれまして。


(便利なような、恥ずかしいような……力だ)


前は、なにも思わなかったのに。


体を重ねても、漠然と生きるためだったから。


今は、とにかく、恥ずかしい。


『これからも俺が愛するのは……お前だけだから』


あいつの妻になるのは、あいつに流れる血のせいでの傷害とか、あいつの家関係の仕事に巻き込まれる可能性があるから危険とかいう話の前に、心臓が壊れるという被害がある!


それとも、世の中の女の子はああいう台詞を言って貰いたいのか……?


両親のを見ていたから、異常な人間がそうするのは知っていたが、まさか、自分がその対象になるとは!
(自分が異常な存在であるのには、触れない)


「……はぁ」


ともかく、何やかんやでその大変な三日間……否、四日間の夜を越え、私は無事に生還。


その後、儀式の説明として二週間の間、御園の歴史について、みっちりと勉強。


衣装合わせなどもあり、(ほたる……いや、お義母さんと京子さんがノリノリだった!)ゲッソリとなっている私に、儀式は五日間と聞かされ、さらに。(無言)


まぁ、それもなんとか耐え、(儀式中の相馬の変化が面白かった!)現在。


馬鹿なことはもう二度と言わないと、ひどく後悔中。