「帰る意味は?」 「里帰り、ですかね?」 「じゃあ、何で、そんな紙を持っとるん?相馬を、棄てるんか?」 沙耶が手に握りしめたもの、それは…… 「沙耶、何で、逃げようとしてるん?相馬が嫌いか?この家が、嫌になったか?家出の件もやけど……相馬は、今、休みをとるために……」 「……え?」 何も聞かされていない沙耶は、不安なんだろう。 日に日に、暗くなっていく顔。 「それ、どういうことですか?」 今にも、泣き出しそうに。 沙耶は、紙……離婚届を、床において。 京子に詰め寄る。