「甲斐は、本当、昔から、相馬の面倒をよく見てくれてるから、助かって……」
「―…茅耶、悠哉、ここにいるの?」
京子がしみじみとそう言ったとき、どこか、暗い声が襖の向こうから聞こえた。
「ここにおるよ、沙耶」
かけられた言葉に、京子が答えると。
「あ、京子さん達が……って、ここに全員、集まって……何してたんですか?あ、綺麗な着物ですね」
言いたいことがありすぎるのか、沙耶の言葉遣いはどこか変で。
「これはな……」
京子が着物のことについて話そうとすると、沙耶は部屋に入ってきた。
そして、双子を抱き締めて。
「ごめんね……」
その普通じゃない雰囲気に京子は口をつぐみ、
「沙耶、どこに行くつもりや?」
そう、訊ねた。
すると、沙耶は。
「暫く、実家に帰ろうかな……と、思って。双子を、律たちにも会わせたいし……」
律と言うのは、沙耶の兄である大樹の長男で。
ヤバイ。
本能的に、僕たちはそう感じた。


