☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



けど、その家族団らんな中に沙耶と相馬の姿はない。


相馬は仕事だが、沙耶は……


「……そういえば、沙耶は?」


ふと、陽向伯父さんが訊ねた。


「まだ、ボーッとしてるよ。当たり前だよね。目覚めたら、相馬はいないし。急にいろいろな日程を相馬は突っ込んだし……置き手紙の内容がさ、なんか、あれだったらしくて。見せてもらってはないんだけど、見た瞬間、『バカ!』って、叫んでた」


夕梨がそう言うと、


「ってか、仕事を手伝わんで良いのかねぇ?」


のんびりと、千華が聞いてくる。


そうだ、相馬の仕事量はただえさえ、半端ない量がある。


歴代の総帥たちに比べると、数々のことに手をかけ、全てに気をかけている相馬の仕事量は火を見るより明らかに多く、大変なはずだ。


おまけにそれを現在、前倒しにして片付けていると聞く。


「寝てねぇらしいよ。甲斐が来るって」


鬼畜だが、なんだかんだ言って優しいところがある甲斐は、相馬のことを心配しているらしく。


ぶっちゃけ、ここにいる全員で片付けたら、二ヶ月分とかすぐに終わる。


相馬にしかできない仕事を相馬がこなし、御園の人間がこなせば良い仕事を僕たちがこなせば、話は早いはずなのに、迷惑はかけられないと、相馬はすべてを一人で抱え込んでいるらしい。


あいつのバカな癖である。