「母さん、聞いちゃなんだけどさ」
「なんですか?総一郎」
「もしかして、慧の父親ってさ、Sだった?」
「…………はい」
両手で顔を覆って、変な声をあげる母さんは、
「こんなところまで、あいつに似なくて良いのに……」
と、呟く。
「母さん、何か言った?」
「いいえ、何もいってません」
「……」
父さんにも母さんにも似ていない慧は、僕たちとはまた、違う意味で厄介な大人になりそうで。
あ、でも、若干……
「陽向伯父さんに似てるかも。性格」
「え、僕に?」
僕の呟きに、妻と一緒にのんびりと茶を飲んでいた陽向伯父さんが顔を上げた。
「うん、なんか、雰囲気とか。父さんも母さんもほんわかしているから……どんな子供が生まれるのかな」
「ほたると春馬?まぁ、確かにほんわかしているよね。僕たちの弟にしては。明らかに、父さんに似ちゃっているからだろうけどさぁ~」
僕の祖父に当たる、陽介さんまた、父さんみたいな性格だったらしく。
「春馬の子供……うーん、和子とほたるは性格が違いすぎて、真反対の位置にいるからねぇ。もともと、春馬の好みは、ほたるみたいな女の子だったわけだけどさー」
「ってことは、僕たちとは全然、性格の違う子供が生まれるんだろうね」
陽向伯父さんが楽しそうにそう言うので、僕もそれに乗っかる。
すると、
「……私、子供なんて生めるのかしら……」
と、母さんが呟き、盛り上がる。
気がつけば、父さんも、母さんも、陽希伯父さんも、魅雨伯母さんも、陽向伯父さんも、梨華伯母さんも、千華叔母さん、京子も、悠仁も、水樹も、夕梨も、氷月に千尋、茅耶、悠哉……と、広間に大勢揃いしていて。


