☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「母さん、聞いちゃなんだけどさ」


「なんですか?総一郎」


「もしかして、慧の父親ってさ、Sだった?」


「…………はい」


両手で顔を覆って、変な声をあげる母さんは、


「こんなところまで、あいつに似なくて良いのに……」


と、呟く。


「母さん、何か言った?」


「いいえ、何もいってません」


「……」


父さんにも母さんにも似ていない慧は、僕たちとはまた、違う意味で厄介な大人になりそうで。


あ、でも、若干……


「陽向伯父さんに似てるかも。性格」


「え、僕に?」


僕の呟きに、妻と一緒にのんびりと茶を飲んでいた陽向伯父さんが顔を上げた。


「うん、なんか、雰囲気とか。父さんも母さんもほんわかしているから……どんな子供が生まれるのかな」


「ほたると春馬?まぁ、確かにほんわかしているよね。僕たちの弟にしては。明らかに、父さんに似ちゃっているからだろうけどさぁ~」


僕の祖父に当たる、陽介さんまた、父さんみたいな性格だったらしく。


「春馬の子供……うーん、和子とほたるは性格が違いすぎて、真反対の位置にいるからねぇ。もともと、春馬の好みは、ほたるみたいな女の子だったわけだけどさー」


「ってことは、僕たちとは全然、性格の違う子供が生まれるんだろうね」


陽向伯父さんが楽しそうにそう言うので、僕もそれに乗っかる。


すると、


「……私、子供なんて生めるのかしら……」


と、母さんが呟き、盛り上がる。


気がつけば、父さんも、母さんも、陽希伯父さんも、魅雨伯母さんも、陽向伯父さんも、梨華伯母さんも、千華叔母さん、京子も、悠仁も、水樹も、夕梨も、氷月に千尋、茅耶、悠哉……と、広間に大勢揃いしていて。