☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3

■総一郎side□



「切れちゃった……」


電話を片手に、僕は呟く。


お昼を終えた、本家。
僕たちは集まり、衣装の確認をしていた。


「京子、その着物、綺麗だね。赤がとても……もしかして、沙耶に?」


「儀式を終えたら、会見にでらなあかんやろ?そんときの衣装や。相馬の命令で、特注品」


「うわー血を感じるね」


最近、沙耶のためならば、何でも特注品にする相馬は、最近、誰かに似てきたと思う。


「それは、俺への嫌みか?総一郎」


「まさか、まさか。尊敬してますよ、無駄に優しい陽希伯父さん」


「嫌みか!」


「別に~」


母さんの死の原因の1つに、伯父が深く関わっていることを知ったのは、退院してしばらくたった後。


「こら、総一郎。兄さんをからかわないの」


「あ、父さん」


笑いながら部屋に入ってきた父さんは、母さんのことは吹っ切れているらしく、改めて結婚して、今や、とても幸せそう。


だから。


「お母さん、体調は良いの?」


「ええ、ありがとう。総一郎」


父さんの新しい奥さん……ほたるさんのことを、僕たちは『お母さん』と呼ぶことにしているのだが。


「お母さん、こっちに来て、沙耶の着物を選ばない?」


京子がそう誘ったり、


「お母さん!ここにいる!?」


水樹が部屋に飛び込んできたり、


「お母さん、茅耶達が……」


氷月が相談に来たり。


頼られるのは構わないらしいが、『お母さん』と呼ばれることになれないらしく、たまに、僕たちにたいして彼女は敬語になったりする。