「……はい」
相手は、相馬の兄である総一郎。
体が弱く、入退院を繰り返していたが、最近は調子が良いらしく、結婚し、本家に住んでいる。
病が理由で、あまり仕事に関わらないが、相馬と同じくらいの能力を持ち、喧嘩に至っては相馬よりも強い。
『甲斐か?』
「あのね、僕の携帯なんだから、僕以外はでないでしょ。で、なに?」
因みに、総一郎は兄の相模の1つ下だ。
『会見のことだが』
「ん?あー、うん」
『あれ、儀式を済ませないと正妻として表に出してはいけないって、御前家の皆が言うんだ』
「まぁ、それが決まりだしねー」
『でもな、相馬に話を聞いたら、会見をした後に儀式をして、その後に公で結婚式をするってんだ』
「うん。そう言ってたね」
『そこまでは良いんだよ。何も、引っ掛かってないしな。問題は、仕事はどうするんだ?』
「……」
やっと、聞いてくれた。
片付ける仕事は沢山あるのに、人手が足りなかったから。
「総一郎、今、どこ?」
『本家』
「そこに向かう。待ってて」
『わかったー』
顔からも中身からも年相応に見えない総一郎は子供のような返事をして、電話を切る。
俺は終わったら、連絡するようにと相馬にメールをいれ、アクセルを踏んだ。


