☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



とうとう、着いたときには二日分の仕事を片付けていた相馬。


「付箋が張ってあるのは、電話しねぇといけねぇもんだから横にどけておいてくれ。移動中に、また片付ける」


「はいはい……」


とうとう、休まなかった相馬はてきぱきと指示を出して、会議に向かう。


(あいつ、マジで22か……?)


昔から何でもできたが、今はもう、出来すぎだ。


ここまで、成長するとは思わなかった。


でも……


『お前が言ったんだろ?悔しいなら、強くなれって』


そう返されちゃ、何も言えない。


相馬にそういったのは、確かに俺だから。


母親の自殺にともない、気が抜けた相馬。


自分を要らないものだと嘆き、苦しんでいた相馬をぶん殴ってまで、俺は言った。


『母親の自分勝手さが悔しかったのなら、お前はそれを越えろ。母親を、祖父を、御園の先祖を越える存在になれ。悔しいのなら、這い上がれ。泣いていたって、何も変わらない。強くなれ、相馬』


あの日から、相馬は勉強に励み、ここまでの男になったのだ。


這い上がりすぎだとは思うが、途中からが悔しいからではなく、沙耶のためとなったのだから、何も言えない。


愛しい女のために頑張りたい気持ちは、分かるから。