とうとう、着いたときには二日分の仕事を片付けていた相馬。
「付箋が張ってあるのは、電話しねぇといけねぇもんだから横にどけておいてくれ。移動中に、また片付ける」
「はいはい……」
とうとう、休まなかった相馬はてきぱきと指示を出して、会議に向かう。
(あいつ、マジで22か……?)
昔から何でもできたが、今はもう、出来すぎだ。
ここまで、成長するとは思わなかった。
でも……
『お前が言ったんだろ?悔しいなら、強くなれって』
そう返されちゃ、何も言えない。
相馬にそういったのは、確かに俺だから。
母親の自殺にともない、気が抜けた相馬。
自分を要らないものだと嘆き、苦しんでいた相馬をぶん殴ってまで、俺は言った。
『母親の自分勝手さが悔しかったのなら、お前はそれを越えろ。母親を、祖父を、御園の先祖を越える存在になれ。悔しいのなら、這い上がれ。泣いていたって、何も変わらない。強くなれ、相馬』
あの日から、相馬は勉強に励み、ここまでの男になったのだ。
這い上がりすぎだとは思うが、途中からが悔しいからではなく、沙耶のためとなったのだから、何も言えない。
愛しい女のために頑張りたい気持ちは、分かるから。


