その手は勿論、微かに震えてて。


「『離婚したい?』『人の心が変わるのは、当然のこと?』……冷めたことばかり言いやがって……どうして、俺に甘えないんだ?俺は、そんなに頼りない?」


沙耶の額に、自分の額を押し付ける。


「微熱か……」


悲しそうな、相馬は。


「ごめんな、俺のせいで……」


今回のこともすべて、自分の責任だと抱え込む。


頼るだけが、夫婦じゃない。


そう、沙耶は言っていた。


でも、甘えないのも、夫婦じゃないと相馬は言う。


お互いに直すべきところを見直さなければならない沙耶と相馬は、寄り添っているだけでなんだか、とても美しい絵面である。


(二人とも、美貌だからなぁ……)


若干、息の荒い沙耶。


「柚香、お前は千歳と一緒に家に帰れ。沙耶のことは、後で連絡する。氷月と千尋は、この場所を頼んだ。勇真さんは、俺と共に来ても構いませんが……どうしますか?」


「俺は、青龍たちに礼を言って、麻衣子のところに帰るよ。夜も遅いし、麻衣子、妊娠中なんだ」


「…………わかりました」


確か、勇真兄のところは三人目だったはずだが……あれ?去年、二人目が生まれなかったっけ?


柚香の疑問は、麻衣子への同情と尊敬となる。


三人とも、どうやら、年子になりそうだ。