「うっ……ぇ、っ……」
私は相馬を放ったまま、吐きそうで、吐けない沙耶に近づき、様子を見る。
沙耶は勇真兄にしがみつき、息を乱して。
「……苦しいのか?」
「ん……でも、大丈夫。双子が心配だよ、逢いに、いかなきゃ……」
沙耶はフラりと立ち上がり、歩こうとする。
「っ……」
そして、膝を折る。
前のめりに倒れ込む沙耶を慌てて、受け止めようとすると。
「チッ、説教だな」
駆けつけた相馬が背後から沙耶の腰に素早く手を回し、自分の方へと抱き寄せた。
沙耶はぐったりと、意識を飛ばしていて。
沙耶を相当心配していたはずの相馬は、平静を装ったまま、沙耶を横に抱き上げた。