「もうちょっと、遊んであげたいけど……柚香や勇真兄さんをそれぞれの待っている人間のもとに返さなくちゃ出し、私もそろそろ限界だし、ごめんね?また、遊んであげるね?」


二度と、御免だろう。


沙耶に“遊んでもらう”のは。


「あなたたちが大人しくしているのなら、人生を詰ませないであげないよう、私から口を利いてあげる。でも……次は、貫通させるからね?」


主語がなくても、何を貫通させるかわかる私達。


沙耶は妖艶に、美しく、血を纏ったまま、微笑んで。


「さて、次は手紙の犯人だな」と、背伸びする。


「沙耶」


「勇兄ちゃん」


「どうするんだ?これから」


「そうね……双子のこともあるから、相馬と話し合わなくちゃとは思ってるんだけど……」


「……氷月から聞いたが、お前の発言、ヤバイと思うぞ?」


「え?離婚したいとかの話?……仕方ないじゃん?人の心が移り変わるのは、自然なことだし」


「手紙のことは?」


「父さんに言って、片付け……っ!」


フラッと、沙耶は足元がおぼつかないのか、血の気がひいたのか、
座りこんで。


口許を手で押さえ、手を震わせる。


「……っ、はぁ……柚香?隠れてないで、出ておいで……」


それでも、私に気づいているらしい沙耶。


私は、千歳と沙耶のもとに飛び出す。


けど、一緒に様子を見ていた相馬は動かず。