「―さて、次はどなた?」
沙耶は、楽しそうに訊ねる。
この状況を心から楽しんでいるらしい沙耶を見て、男達の瞳が恐怖以上のものに染まり、また、数人、意識を飛ばす。
「ねぇ、下らないわよねぇ?」
カツン、カツン、と、沙耶のヒールの音は響く。
そして、男達にとっては、“悪魔の足音″。
「嫉妬して、行動せずに、こんなことして命落とす、なんて。ダサいわ。すんごく、ダサい」
他の男達は、ごくりと生唾を飲み込みこんだ。
温度をなくした沙耶の瞳に、暖かさが戻ることはなく。
「貴方たちに依頼した人間も、恐らく、依頼された人間だったんでしょうけど……良かったわね?一発目が私で。一発目から、焔棠の人間に殴られたくないでしょう?でも、まぁ、もし、柚香に手を出したりしていたら、千歳たち千羽が動く前に、私が殺してあげたけどね?」
なんて、笑顔で吐く沙耶。
大事な幼馴染みの沙耶に震え上がるほどの恐怖を感じる私は、
「フフっ、私を犯すようにでも、依頼された?でも、残念。使う予定だったブツ、もう、二度と使い物にならないわねぇ?」
気を失っている男の秘部を躊躇いもなく、踏みつける沙耶は、笑ってて。
そんな沙耶の姿から、私達は目を離せなくなる。
「あんたたちみたいなの、消えてしまえばいいのに」
絶対的な統治者。
もし、沙耶が男ならば、そんなものになっていただろう。
前世とか関係なしに、沙耶は、女に生まれてきて本当に良かったのかもしれない。
この国……いや、世界のために。


