(こういう状況に慣れきってるんだな……)
家が高貴なのも、考えものである。
ため息をつきながら、千歳と共に相馬のもとに行き、中を覗いて止まっている相馬の横に立つ。
「おーおー、派手にやってるよ」
次から次へと殴りかかられても、まるで、踊るように避け、蹴り倒す沙耶。
そして、遠慮なく、殴り倒す勇真兄。
「あの兄妹、不死身だわ……」
そんなわけないのだが、目の前の状況にはそういわざる得なくて。
とうとう、沙耶は最後の男を蹴り倒すと、その男の上に跨がり、懐から銃を出す。
そして。
「どうせ死ぬなら、今死んでも同じよね?」
と、笑顔で言う。
沙耶に勝てるはずがないと思ったんだろう。
誰もが、項垂れ。
それでも沙耶は、男の耳より少し上に銃口を当て、引き金のところに指を置く。
引けば、すぐに仏様である。
当てられた男は、がくがくと震え。
沙耶は動かなくなったことを確認すると、その男から離れ、背後に回る。……銃口は、当てたまま。
「何発も、人にかましてくれちゃってさ」
ぶつくさ言う、沙耶の顔は明るく。


