☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




(こういう状況に慣れきってるんだな……)


家が高貴なのも、考えものである。


ため息をつきながら、千歳と共に相馬のもとに行き、中を覗いて止まっている相馬の横に立つ。


「おーおー、派手にやってるよ」


次から次へと殴りかかられても、まるで、踊るように避け、蹴り倒す沙耶。


そして、遠慮なく、殴り倒す勇真兄。


「あの兄妹、不死身だわ……」


そんなわけないのだが、目の前の状況にはそういわざる得なくて。


とうとう、沙耶は最後の男を蹴り倒すと、その男の上に跨がり、懐から銃を出す。


そして。


「どうせ死ぬなら、今死んでも同じよね?」


と、笑顔で言う。


沙耶に勝てるはずがないと思ったんだろう。


誰もが、項垂れ。


それでも沙耶は、男の耳より少し上に銃口を当て、引き金のところに指を置く。


引けば、すぐに仏様である。


当てられた男は、がくがくと震え。


沙耶は動かなくなったことを確認すると、その男から離れ、背後に回る。……銃口は、当てたまま。


「何発も、人にかましてくれちゃってさ」


ぶつくさ言う、沙耶の顔は明るく。