「また、銃声……ッ、氷月、千尋、警察でもなんでもいいから、あいつらを捕まえられるくらいの人間をここに回せる?私、中に……」
「回せるよ。けど、柚香、中は……」
「沙耶がいるのよ!怪我した沙耶が!!勇真兄だって、いくらなんでも……」
どんなに強いとしても、元ヤンでも、勇真兄だって、大切な家族がいる。
必ず、無事に返さなくちゃ。
じゃないと、沙耶が悲しむ。
沙耶が、壊れる。
麻衣子さんが苦しみ、二人の子供と遺される。
かつての朝陽さんのようなことは、防がなければならない。
制止してくる二人の手を振り払い、進もうとすると。
「行くぞ、柚香」
千歳が、手を引いてくれる。
「千歳!」
千尋の止める声が響くけど……
「こいつのことは、俺がよくわかってる。大丈夫だ。ちょっと、様子を見に行くだけだから。相馬、お前も……」
「俺も行くよ。これでも、もって」
相馬がそう言いながら、取り出したのは、日本刀。
「!?……そ、それ、どこに……」
「家から、持ってきたんだよ」
「家に日本刀があるの!?」
「火縄銃もあるが?」
「怖い、御園家!そして、沙耶同様、銃刀法違反!!」
法律とか関係なしな、夫婦。
相馬は沙耶と同じようにニッコリと笑って。
「人生を詰ませるんだ。これくらい、必要、だろ?」
日本刀は、人の首でも簡単に飛ばすと言う。
つまり、御園は昔、これを使って……
「っ、……」
想像するだけでも、震え上がってしまう。


