「私?私は千羽家三男の千羽千歳の妻、千羽柚香」
「千羽……じゃあ、私たちを救ってくれたのは……」
「あの子は、そこにいる御園家総帥、御園相馬の妻よ。旧姓は黒橋」
「……あの方は、大丈夫なんでしょうか?」
落ち着いてきたのか、女の子は息をついて。
「ええ。沙耶は大丈夫よ。あの子は、強いから。貴女たちのことを知って、貴女達を拐った人間を全員、取っ捕まえるってキレていたほどだもの。沙耶はこういうことが大嫌いでね、徹底的に相手は追い詰められると思うわ。多分、人生を詰むまで」
「っ……」
「だから、安心してちょうだい。ね?」
「ううっ……」
「遅くなって、ごめんね」
泣き出してしまう。
こういうことを防ぐために、御園がいるのだ。
警察すらも動かす権限を持った、御園が。


