☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「全員、立て」


沙耶の冷ややかな、命令。


俺は柚香たちが出ていったのを確認次第、沙耶の元に駆け寄った。


「沙耶!」


「……なに?」


ガチギレした沙耶は、冷ややかな目で俺を見て。


「暴れても構わないから、ちょっと、縛らせろ。止血だ」


「……わかった」


一瞬、拒否しようとした沙耶は俺の顔を見ると、いつもの柔らかな表情に一瞬だけ戻り、手を差し出してきた。


沙耶の頬の血を拭き取るが、頬はたいした傷ではなく、三日から五日の時間があれば、治るであろうと思われた。


肩には持っていた布で軽い止血をし、俺は沙耶から離れ、拳銃を構え直す。


今の間に囲まれた俺たちは、四面楚歌の状態だったが。


「勇兄、背後を任せた」


「おう」


俺達には、たいした状況ではない。


これくらい……


「俺にも、かかってこーい」


どうってことない。