俺は懐から、拳銃を取りだし。
「ほら、とっとと、千歳んとこに行け」
彼らに通れるルートを作ってやる。
「ありがと!勇真兄!」
柚香にそう呼ばれるのは、何年ぶりだろう。
可愛がっていた妹でもあるから、呼び方が他人行儀なったときには寂しく感じたものだ。
一応のため、沙耶の方を見れば。
「チッ、柚香たちを攻撃して。殺されたいの?」
と、沙耶が見てわかるほど(いや、さっきからだったけど)怒っていた。
どんどん、強くなっていく蒼い炎。
(おっかねー)
ぶっちゃけ、沙耶みたいな女を妻とするのは、さすがの俺でも抵抗感がある。
(教育したのは、俺と大樹と朝陽さんだけどな)
多忙な沙耶の両親に代わり、アイラさんを護衛するのが仕事だった朝陽さんは、俺たちにいろいろなことを教えてくれたのだ。
本当、こういう護身術は全て、彼の教えである。


