☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



俺は懐から、拳銃を取りだし。


「ほら、とっとと、千歳んとこに行け」


彼らに通れるルートを作ってやる。


「ありがと!勇真兄!」


柚香にそう呼ばれるのは、何年ぶりだろう。


可愛がっていた妹でもあるから、呼び方が他人行儀なったときには寂しく感じたものだ。


一応のため、沙耶の方を見れば。


「チッ、柚香たちを攻撃して。殺されたいの?」


と、沙耶が見てわかるほど(いや、さっきからだったけど)怒っていた。


どんどん、強くなっていく蒼い炎。


(おっかねー)


ぶっちゃけ、沙耶みたいな女を妻とするのは、さすがの俺でも抵抗感がある。


(教育したのは、俺と大樹と朝陽さんだけどな)


多忙な沙耶の両親に代わり、アイラさんを護衛するのが仕事だった朝陽さんは、俺たちにいろいろなことを教えてくれたのだ。


本当、こういう護身術は全て、彼の教えである。