「私ね?」
ガッ!
「極道の息子だったお父さんと、暴走族の頭だった兄……そこにいる人ね?と、柔道、空手、剣道……武の道すべての有段者だった兄と、ある有名企業のお嬢様を護衛をしていた叔父がいるの」
ドカッ!
「その人たちにね?教えてもらったのよ?」
ガンッ!
「この護身術も、何もかも。それでね?」
バキッ!
「言われたんだ、結婚するとき」
ドスッ!
「ぐうっ!!」
頬、頭、背中、顎、足に最後は腹。
彼のすべてに沙耶の足はのめり込む。
「『誘拐されて、少しでも身に危険を感じたら、遠慮なく殺れ』ってね?お父さんの教えよ?」
痛みに悶絶……どころか、既に気を失ったか弱き“小動物″のうち、一匹。
涎と血を口から流れ落とす彼に興味を失ったように、他の男達に目を向ける沙耶。


