(まさか……)
瞬間、パン、パン、パン……
……とても、聞き覚えのある音がした。
「沙耶!?」
思わず、声を上げ、影から飛び出してしまう。
やはり、左が使えないのが仇となったか。
昔の沙耶ならば、こんなものは簡単に避けていたはずだから。
駆け寄り、見れば、肩から血を流す沙耶。
「あれ、やっぱ、勇兄ちゃんだったんだ?私の感も、まだまだ、現役?」
打たれたところの傷を見るが、当たってるのは、一発だけ。
「っ……大丈夫、一発だけだよ。気づいてても、避けられなかったや」
痛みに顔を歪めながら、笑う沙耶。
無邪気な、笑顔。
「でも、ここまでするなら、話は別よね……」
けれど、さっきよりもハッキリと目に宿る殺気は、小動物たちを震え上がらせて。
それを見るに耐えられなくなった男が、プイッ、と、彼が顔をそらすと。


