☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




沙耶は、極道の端くれの孫。


沙耶の父親の健斗さんの強さは、恐ろしい。


おまけに沙耶は彼に似ているから、余計に、だ。


沙耶の発する、静かな青い炎は燃え上がる。


今までの時代で、焔棠の歴史を代表する強さをもつのは、ここ最近の人間。


まず、“戮帝”の焔棠雪。


そして、俺の先輩の“戮帝”の次男、焔棠京。


その二人を越えるとも言われるのが、今日、付いてきた桜の旦那である“滅帝”の焔棠薫。


焔棠薫の有名度は、“戮帝”と並ぶほどで。


焔棠を継いだ日には“戮帝”をも越す、偉大な存在になると言われている。


そんな薫と沙耶の狂気を知るものは、みんな、言うらしい。


沙耶の狂気は、薫を前にしたような錯覚に陥ると。


そんな父親の天性的な才能を受け継いだ沙耶。


ふと、そんな沙耶の後ろで何かが動いた。