沙耶は、極道の端くれの孫。
沙耶の父親の健斗さんの強さは、恐ろしい。
おまけに沙耶は彼に似ているから、余計に、だ。
沙耶の発する、静かな青い炎は燃え上がる。
今までの時代で、焔棠の歴史を代表する強さをもつのは、ここ最近の人間。
まず、“戮帝”の焔棠雪。
そして、俺の先輩の“戮帝”の次男、焔棠京。
その二人を越えるとも言われるのが、今日、付いてきた桜の旦那である“滅帝”の焔棠薫。
焔棠薫の有名度は、“戮帝”と並ぶほどで。
焔棠を継いだ日には“戮帝”をも越す、偉大な存在になると言われている。
そんな薫と沙耶の狂気を知るものは、みんな、言うらしい。
沙耶の狂気は、薫を前にしたような錯覚に陥ると。
そんな父親の天性的な才能を受け継いだ沙耶。
ふと、そんな沙耶の後ろで何かが動いた。


