「なんや、かかってこんかい」
木刀を片手に、嬉々として笑う沙耶。
(……やベェな、ネジが吹っ飛んでる)
完全にキレているらしく、口調が関西弁に。
(……健斗さん譲りだよなぁ、こういうとこ)
沙耶が暴れていてくれているせいで、俺が侵入したことには気づかれず。
沙耶の周辺には、男の山が。
(俺も昔、作ったな……)
人の山。
これは、実際にできてみると中々、壮観なものである。
目を凝らせば、奥の方では、柚香らしき女が動いていて。
やっぱり、他にも女は捕らわれていたのだという考えが的中した。
「遅い!」
次から次へと、薙ぎ倒すその姿。
かつて見た、健斗さんと同じ戦い方である。
そんな我が妹の沙耶は、変わらず、美しく。
高い位置で結ばれた黒髪は、沙耶が身を翻す度に宙を舞い、青い炎を吐く口は、赤い果実のようで。
使えない半身を軸に、軽快に、彼女は動く。
木刀は、男達を意図も簡単に薙ぎ倒し、沙耶の大きなパッチリとしたつり目気味の瞳に映るのは、可哀想な“か弱い″小動物。
白い頬を、紅い鮮血が色付ける。
着ていた可愛いワンピースは、男達の“紅″で、染められていく。
沙耶の瞳は、三日月型に歪められ――……
ドスッ……
鈍い音ともに、最後の小動物が気を失った。


