(可愛いもんだよ……)
愛しい女を人質に取られ、震えられるだけ、俺からすれば本当にかわいいものである。
(俺は、半殺しだったもんな……)
口には出さないが、麻衣子が敵に人質に取られた時、俺は遠慮なく、相手を殲滅した。
おまけにそれを嬉々として行い、怪我までしたもんだから、麻衣子に泣かれて困ったっけ……
今や、甘酸っぱい、愛しい思い出である。
「見張りがいるとわかるだけ、まだ、マシだな。手加減は?」
「要りませんよ。だって、そろそろ、殲滅しようと考えていましたし、全ては警察に任せようと思ってたんですよ?ほら、加減が効かなくなるじゃないですか。でも、沙耶たちが巻き込まれたなら、話は別です」
ニッコリと相馬が微笑む。
そう言えば、相馬が恐ろしいほどの笑顔で笑うときは大抵、よくないことを考えているときか、怒っているときだと言ってたな、沙耶が。
なんだかんだ言って、御互いのことを良く解っているこの夫婦は本当に仲が良いと、俺は思う。
「んじゃあ、俺が沙耶の援護をする。だから、逃げてきた人間をボコして、捕らえろ。恐らく、沙耶たち以外他の女もいるから……その子達の保護は、氷月、千尋に任せる」
初対面でも仲良くが信条な俺は、彼らに笑いかけ。
扉近くにいた、男たちを殴り倒した。
(久しぶりにやると、手ぇ痛ぇー)
無様にも、一撃で気絶した男たちを踏み、
「任せたぞ」
俺は、一言言って、倉庫の扉を開けた。
そして、目の前の状況にため息をつく。


