「おい、相馬」
「はい」
結局、俺と相馬と柚香の旦那の千歳、相馬の弟の氷月、その妻、千尋、そして、京さんの娘であり、焔棠の蝶とも呼ばれる桜が共に来ることになり。
「この倉庫な、特別な作りになっているから……」
「ああ、知ってます。上の方がガラスが多くて、上に登ると、中が覗き込めるんですよね。面積は広いけれど、一階建てだから……」
「流石、話が早い男だ」
「……それは、誉められてます?」
中にいる人間に気づかれると面倒くさいので、俺と相馬は小声で会話しつつ、黙っている残りの三人を連れて、建物の影にはいる。
「まず、見張りがいるかどうかだな……」
「それなら、いますよ。中岡組で有名なのは、人身売買です。沙耶も柚香も売られたんでしょうけど……」
調べはついているらしく、相馬の口からはスラスラと情報が出てくる。
「…………それは、ある意味、可哀想だな。相手が」
あの二人の兄として過ごした期間上、俺は思わず、そう言ってしまう。
片方だけならば、まだ、良いが……二人揃えば、最悪だ。
「そうですね、相手が……」
「だな」
相馬と千歳も俺の言葉に同意を示すが、二人とも、手の震えを隠せていない。


