「……さ、沙耶さま?」
「んー?」
嫌な予感はしていた。
していたが、一応、聞いてみた。
「柚香様に、何をお頼みに?」
微かに残る、希望を……
「んっとね、悠哉と茅耶を連れてきて!って……」
……結局、尽く、裏切られるのだけれども。
「……バカですか?」
素直に、その言葉が出た。
「あはは……和貴なら、そう言うと思った」
……思ったのなら、やめておいてほしい。
笑う主人は、良い人間だ。
上の者だからと驕らないし、
下の者でも手を差し伸べる、優しい人間。
そこに相馬さまが惹かれたのは知ってるし、納得はいくので、別に非難するつもりはない。
仕える身としては、有り難い。
こんな主に仕えることができて、本当に。
だが……