「ちょっと、やめてよっ! からかわないでよ!!」

みんなを睨んでそう叫ぶとさらに嬉しそうな歓声があがる。

「かわいいっ! ちょっとからかっただけで真っ赤になってる!!」
「実花が涙目になってるー!」

ゲラゲラと笑うみんなに、開き直ってあたしは叫んだ。

「ど、どうせ男の人と付き合ったことも恋したこともないもん!!」

そう言って唇をとがらせると

「もう、ほんと可愛すぎる!! ずっとそのままの実花でいてね!!」

と、あたしの猫っ毛のボブの髪をぐちゃぐちゃと乱暴になでられる。


「気をつけなよ、実花。こんな純粋な実花があの西野なんかに近づいたら頭からバリバリ食べられちゃうよ」

冗談半分で言われた言葉にあたしは呆れて笑って返す。

「西野くんがわざわざあたしなんか相手にしないよ」

あたしみたいに子供っぽくて色気のない女に、わざわざ手を出すほど物好きなんていないよ。

「えー実花、自分が可愛いってわかってないでしょ?」
「可愛いよねー、小動物っぽくて」
「わかる。なでなでして連れて帰りたくなるよね」

「……ちょっと!! それって女としてぜんぜんほめられてる気がしない!」

うなずくみんなにあたしはまた唇をとがらせた。