授業中
暇な時にいつもノートの隅に書いてたリョウくんの観察日記。

そんなのを木暮くんに見られたと思うとカッと頬が熱くなった。

「上田さんって、リョウの事が好きなの?」

ノートを抱えて真っ赤になるあたしを見て木暮くんがびっくりしたように言った。

「いや、そうじゃなくて……!」

どうしよう!
こんなの人に見られるなんて恥ずかしい! 

「……上田さん、これからジュース買いに行くとこだったんでしょ? 一緒に行こうか」

動揺するあたしに、木暮くんはそう言って優しく笑った。




「ごめんね、なんかノート覗き見しちゃったみたいで」

一階の自販機までふたりで並んで歩きながら、なぜか謝ってくれる優しい木暮くん。

「別に木暮くんは悪くないんだから謝らなくていいのに」

慌ててあたしが首を振ると、「そう?」と柔らかく笑って首をかしげた。

本当にいい人なんだなぁって、なんだかホッとした。
見られたのが木暮くんでよかった。
きっとほかの人ならからかわれてたに違いない。

「……でも、上田さんがリョウを好きだなんてちょっとびっくりした」
「いや! 別に好きってわけじゃないよ! ただ、少し気になるだけで……」