「そうだったんだ……」
「あたし、カッコ悪いでしょ」
「そんなことないよ」

あたしの言葉にみゆきちゃんは静かに首を横に振った。

「カッコ悪いよ。あたし実花がうらやましかった」
「……え?」

あたしが、うらやましい?
どうして?

「自分のくだらないプライドを守るために、好きな男の悪口言いふらして自分が振られたのを隠して
実花にも西野に近づくなとか言って……」

言いながらみゆきちゃんはぼんやりと外を眺める。

窓の外では灰色の雲から羽根のような柔らかな雪がちらちらと降り始めていた。


「あたしはひねくれてて素直じゃないから、
いつもまっすぐに西野をみつめて素直に好きって言える実花がうらやましかった」

窓の外を見たままで静かにそう言ったみゆきちゃんの横顔は
少し照れくさそうで耳が赤くなってた。

「でも、あたしも思いっきり失恋しちゃったけどね」

あたしまでなんだか照れくさくて笑いながらそう言うと
みゆきちゃんもつられるように笑った。

「なんであんな男に惚れちゃったんだろうね」

大きくのびをしながらそう言ったみゆきちゃんにあたしは小さく笑った。

「仕方ないよ」