耳元で雪の結晶が溶けていく微かな音が聞こえた。 気がつけば熱い涙が溢れ、頬を伝って落ちて白い雪を溶かしていた。 「リョウ……」 あたしは腕をのばし彼の首にしがみつきながら耳元でその名前を呼ぶ。 「リョウ……!」 彼の指先が与える甘い快感に身体を震わせながらうつろな目を開けると 逞しい肩越しに灰色の空が見えた。 雪が降ればいいのに。 あの厚い雲から大粒の雪が降って このままあたしたちを白く重い雪の下に覆い隠してくれたらいいのに……