リョウくんは乱暴にあたしの身体を抱き寄せると後頭部を押さえ上を向かせた。
さらりと顔にかかる柔らかく黒い髪。
されるがままに目を閉じると熱い唇がおりてきた。
まるで獣のように荒々しく貪り合うようなキス。
誰もいない屋上に響く舌が絡む微かな水音
次第に荒くなるお互いの吐息。
「……ん、リョ……っ」
まるで溺れていくように薄れていく理性。
全身を突き抜ける甘い快感に、もう立っていられなくて……
「……んんっ!」
あたしはあまりのキスの激しさに膝から崩れ落ちた。
雪の積もった屋上の床に膝をつき肩で荒い呼吸を繰り返すあたしを
リョウくんは静かに見下ろして目を細めた。
「……後悔すんなよ。途中でイヤだって泣いたからって止めてやるほど俺は優しくない」
そう低く冷たい声で囁きながらあたしの身体を冷たい雪の上に押し倒した。
「しない……
後悔なんてしない……っ」
こんなに好きな人に抱かれること後悔なんてするわけない。
たとえそれが誰か違う女の人の代わりだったとしても……
「んっ、リョウ……」
まっさらだった白い屋上にふたりの足跡が
まるで汚れをつけたみたいに黒く、滲んだ。


