卒業式当日。
美陽は式が始まる前に悠琉の携帯にメールを送った。

『卒業式が終わった後、グラウンドで待ってます 美陽』

「美陽行くよ?」
「今行くー!」

束李に呼ばれて体育館へと向かう。
入場、挨拶、授与、送る言葉、退場と一連の流れが終わると美陽は束李に言う。

「私、用事出来たから行ってくるね!」
「うん!行ってらっしゃい」

束李は美陽を手を振って見送る。
美陽が何をしに行ったのか、束李は何となくだが分かったような気がした。


美陽が向かったのはあの場所。
束李に誘われて行ったグラウンド。
陸上部の横のグラウンドではサッカー部が活動していて。
初めて美陽が悠琉と会った場所。

「すぅー…はぁー…」

美陽は深呼吸を繰り返す。
まだかまだかと、悠琉を待つ時間が緊張感を高める。
来てくれるであろうと信じて美陽はじっと待つ。