お見合いさせられました!

スタッフに案内された場所は、レストランの一番奥の個室の部屋。

スタッフがドアをノックして、開けてくれた。


「お待たせいたしました」

父が一礼して個室の中に入っていく。
母も続いて入っていく。

私は一瞬中に入るのを躊躇った。
本能がそうさせたというか、危険を察知したというか。

でもいつまでも立ち尽くしてるワケにはいかない。
スタッフの人も困るだろうし。

着替えの入った紙袋はさっき預けた。
私の手にはお財布、スマホ、ハンカチが入ったパーティーバッグだけ。

両手でパーティーバッグをグッと握りしめ、覚悟を決めて中に入る。


個室の中は意外と広かった。
ガラス張りの大きな窓からは、青い空、すばらしい景色が広がっている。
夜に来れば、極上の夜景が楽しめそう。

中央のテーブルを挟んで3対3の椅子。
父と母の対面には、ダンディーなおじさまと、着物姿のおばさま。

えーっと、私の記憶が正しければ、ハジメマシテな人たちのはず。

急に働かなくなった思考回路を整理してみても、やっぱり一度もお会いしたことはございませんって感じ。

それから、私の座る椅子らしいところの対面には、えーっと、これまたハジメマシテな男の人。

この人、誰?

私の頭の中は、さっきからハテナマークで埋め尽くされてる。
それと同時に血の気が引いていく感じがする。