海外事業部の事務の女の子たちは、美人でスタイルもよく、メイクも服装も完璧。
仕事が出来るかどうかは、うーん、わからないけれど。

愛ちゃんの言うとおり、噂好きで、表裏の態度がはっきりしているのは間違いない。


今日は残業したところで仕事にはならないと思い、帰ることにした。
帰り際、トイレに立ち寄り、一番奥の個室に入る。
ふと考えるのは五十嵐さんのこと。
それ以外は考えられなくなっている私は、相当重症なんだろうか。
あれこれ考えていると、トイレの鏡の前で化粧直しを始めたらしい人たちの声が聞こえてきた。

しまった。
出ていくタイミングを逃した。

そう思っても、もう遅い。
声の主が海外事業部の女の子たちで、五十嵐さんの話をし始めたので、余計に出ていけなくなってしまった。


「五十嵐部長、仕事出来る上に、なかなかのイケメンらしいよ~」

「ね~。楽しみだよね~」

「アピールしなくちゃ!」

「抜け駆けはダメだからね~」

「だって結婚相手にはぴったりじゃない?好きとか感情の前に経済力とか大事よね。まぁ、外見良ければ尚良しって感じじゃない?」

「だよね~!ってなると、候補は五十嵐部長か真壁主任かな」