「全然。今朝も早くからスタンバイしてたんだろ? サロンの人達は、挙式日はドタバタだし。お疲れ様。いつもありがとう」


先輩は、情けな~い顔して突っ立っている私のところに髪を拭きながら来ると、暖かな眼差しで包みながら背中を押し窓際のチェアーを引いて座らせてくれる。

私が、戸惑いがちにお礼を言うと、先輩も濡れた髪のまま前に座り、品の良い笑みを浮かべてくれる。

……髪、ストレートだ。

パーマじゃなくて癖毛なんだ。

新鮮……。

いつも思うけど、濡れた髪って男を上げる……更に先輩の場合格段に色っぽい。

しかもバスローブ姿なんて特別な関係じゃなきゃ見られないから、変に意識して胸が騒がしい。

……甘い関係なしで残念だけど、今だけいいよね?

あの頃の私を少しだけ満たしてあげても。