タイムリープ

きれいにカゴの中に収納されている白い食器や、フックに吊るしてあるフライパン。飲み干した数本の缶ビールと、灰皿の中にあるタバコの吸い殻。そして、白いまな板の上に乗ってある包丁が私の瞳に見えた。

「僕のことを好きだと言ってくれ、千春。僕と一緒に幸せになってくれ、千春」

顔を真っ赤にして興奮した様子で、さらに私に詰め寄る斎藤。

その差、約二メートルぐらい。

「やめて。近寄らないで………」

私は、首を左右に振って拒絶した。

「どうして……どうして、僕のこの気持ちが分かってくれないんだ。こんなに僕は、千春ちゃんのことを愛しているのに………」

私にフラれたことが相当ショックだったのか、斎藤はぽろぽろと泣き始めた。