「一つは、俺のことを忘れないでほしいんだ」

私の頭上から、優太のしんみりとした声が聞こえた。

「忘れないよ!忘れるわけないよ!」

私は優太と過ごした日を思い出して、涙声で言った。

この先生きても、これ以上好きになることは私の前には現れないだろう。

「二つは、俺がいなくても生きて幸せになってほしいんだ。せっかく、梢が生きる人生になったんだから」

「むりだよ………優太がいない人生で………幸せに生きれないよ!」

開いた桜色の唇から、私のこもった泣き声が聞こえた。

この先生きても、私は優太のことを想い続ける。優太のことは、忘れることはできない。だから、優太から人生をうばったことを思い出すと、私は幸せに生きることはできない。