タイムリープ

「梢、謝らなで。俺は、梢が生きる人生になってうれしいんだから」

やさしい声で言った優太は、私の頭をなでた。

「うそつき！私をよろこばせるためにそんなこと言ってるんでしょ、優太」

顔を上げて私は、優太を見つめて言った。

私の瞳に涙を流している、優太の悲しそうな顔が見える。

「優太、泣いてるじゃん！私をよろこばせるために嘘言ってるんでしょ」

「梢、嘘なんか言ってないよ。俺は、ほんとうに梢が生きる人生になってよかったと思ってる」

「じゃあ、どうして泣いてるの？」

私は、大きな声で訊いた。

「俺の好きな梢が生きる人生に変わったから、うれしくて泣いてるんだよ」

笑顔で言った優太の瞳から、涙が流れた。それは、うれし涙だった。

「優太………」

私の口から、好きな人の名前が出た。

私の脳裏に優太と過ごした、記憶がよみがえる。一緒に、食堂で食事をした思い出。いつも、私の隣の席で本を読んでいた優太。一緒にデートした思い出。