それでも、やっと箱が下りてきて乗り込むことができた。 超高層のタワービルとは言え、インド料理店が入っている階はビルの中層階だったので、ホッと一安心した。 だが、それもつかの間、エレベーターは律儀にも各階に止まっていくじゃないか。 当然のことながら、出入りする人たちが止(や)まないと扉が閉まらないので、待っている間、イライラが限界に達しそうになった。 腕時計を見ると、指定された時間より十五分近く遅れていた。