「紅音のおかげで新選組が平和になったよ」

「土方さんが、あんなにニコニコしているなんて、奇跡だよな」 

「助かる!本当に助かる!」

「いつ祝言あげるの?」



 
幹部に囲まれている



紅音は、はぁと小さなため息




「拷問と変わらないな」



「拷問?」




斎藤一の膝の上でスヤスヤと眠る蒼を
ジロリと見た後



「私は、土方の妻にはならない
それに… ここを出たい」


「ですよね やっぱり土方さんとか
嫌ですよね!?わかります!」


なぜか嬉しそうな沖田に視線をやる



「でも、外は危険ですから
もうしばらく、ここにいて下さい!
これも何かの縁です!
紅音さんがここにいると
すっごく穏やかなんですよあの人!
助かります!ふふふっ」


「クククッ 鬼の副長ってあだ名があるんだ
でも、紅音の前では、以前の土方さんだもんな!土方さんがあんな風に楽しそうなのも、笑うのも、久しぶりなんだ」


「おかしな奴だ
土方だって… 私を知れば、すぐに
ここを出て行けと言うだろう」


「……土方さんは、そんな人じゃねえよ」


「そうです!」


「外見に惹かれたのは、間違いないが
土方さんは、人を見る目がずば抜けてる」


「紅音もすぐわかるさ!」


「おかしいのは、土方だけじゃない
お前達もおかしい…
そんなに土方が大事なら
私を妻にすることを辞めさせろ」


「紅音?聞いてもいい?
昨日の男は、どういう関係なの?」


「助けてやったが、私を売ろうとした
それだけだ
名前も知らぬ、私も教えていない」


「んにゃあ~」


目覚め、あくびをする蒼に話し掛ける


「蒼は、ここが好きか?
私よりこいつらがいいのか?」


「にゃあ」


スリスリと紅音に擦り寄る


「嘘つき… ぐっすり寝てた癖に…」


蒼の頭をツンと押す


機嫌をとるように、紅音の頬をなめる


「好きにすればいい…ここにいたければ
私が頼んでやる
蒼の事は、皆気に入っているようだからな」