先輩は私の手を引いてベンチに二人で腰をかける。





「何があったのか気になるけど、無理して言わなくていいからね。久野ちゃんの今吐き出したいことだけでいいから」






その言葉だけで目がじわじわと熱くなる。






「………先輩って……」





「ん?」






「なんの関係もない罪の濡れ衣を着せられて周りからも信じてもらえなくなったらどうしますか?」






もう、どう思われてもいい……。






「うーん…。俺だったら、もう誰も関わらないかな。どんなに弁解しようと信じてもらえないんだったら辛いだけじゃん。」





………やっぱり、そうなるよね…。






「でも、久野ちゃんは…優しいよね」






「……え?」





「だって、そんな事あったとしても俺だったら人の頼みなんて聞かない。最初は嫌々かもしれないけどちゃんと仕事しようって頑張ろってしてくれて俺嬉しかったよ。久野ちゃんが人を信じられなくても人のために頑張ろって思う久野ちゃんは真の優しさを持ってるね」